2019年12月4日に発売されたCapture One Pro 20 の新機能をまとめたいと思います。
バージョン11から12へのアップグレードのときには、レイヤーマスクなどの派手な機能追加がありましたが、今回の12から20へは「使いやすく!」を強化しているように感じました。
おそらくAdobe Lightroom ユーザーがCapture One Proも使うことが多くなってきたのでしょう。
全体的にAdobe Lightroomっぽくなってきています。
使いやすさではAdobe Lightroomのほうが勝っていると、個人的には感じていましたので今回のアップグレードは大歓迎です。
カラーエディターがより直感的に、ダイレクトカラーエディター
Capture One Pro 12までのカラーエディターは、変更をかけたい色を選択したあと、「カラーエディターパネル」から、色相・彩度・明るさのバーをスライドさせるしかなかったのですが、Capture One Pro 20からは写真上で直接操作できるようになりました。
Adobe Lightroomでは色調補正欄に、◎(二重丸)の直接写真上で編集をかける機能があるのですが、それと同等だと思ってください。
Adobe Lightroomでは「色相・彩度・明るさ」の各項目に対して、個別に◎をクリックしないといけないのですが、Capture One Pro 20 では手元で一括操作ができるようになりました。
それが「ダイレクトカラーエディター」という機能になります。
使い方は、「カラーエディターパネル」右下のスポイトツールを押します。
すると、写真上のカーソルがひし形になると思います。
それが、「ダイレクト カラーエディター カーソル」と言われるもので、その状態のときに写真上で左クリックを押しながらスライドさせることで直接編集ができます。
スポイトツールの左、もしくは写真上で右クリックで「ダイレクトカラーエディターの設定」を行うことができます。
デフォルトでは、
- 色相…左クリック+マウスの水平移動
- 彩度…左クリック+マウスの垂直移動
- 明るさ…Alt(Option)+左クリック+マウスの水平移動
となっており、自分で違う割当てをすることも可能です。
「感度」とは、効果の効き方の強さで、感度がゼロだとほぼ変化なし、感度が100だと、ちょっとマウスを動かすだけで激しく効果がかかります。
パネルのピン留めと、勝手に閉じなくなった!
Capture One Pro 12 までは、ツールパネルが勝手に閉じていました。
どういうことかと言いますと、Capture One は今までは画面上に「ホワイトバランス」や「露出」などのパネルタイトルを全表示しようとしていたため、使っているディスプレイの解像度に合わせて、使っていないパネルを自動で閉じる仕様となっていました。
ですので、ノートPCなどディスプレイサイズが小さい環境で作業していると、いちいち閉じたパネルを開く作業が発生し、ストレスを感じていました。
Capture One Pro 20 からは、Adobe Lightroom と同様に、開いたパネルは開きっぱなしになり、画面外に行ってしまったパネルはスクロールで表示させる仕様へと変更になりました。
非常に快適です!
ただ注意点がありまして、これまではスライダーの数値をマウスのスクロールで調整できるようになっていたのですが、今回の仕様変更によりできなくなりました。
従来の設定に戻すには、「環境設定」の「ツールタブ」を変更しましょう。
その際には、ツールタブのスクロールは「Alt(Option)+スクロール」に変更となります。
さらに、従来どおりパネルの入れ替え(任意の配置)機能はそのままに、ピン留め機能が追加されました。
各パネルの右上にある「…」アイコンをクリックすると、「ツールをピン留エリアに移動」という項目があり、これをオンにするとパネル上部に固定されます。
レイヤーやヒストグラムなど、全体を把握しなければいけないツールや、よく使うツールなどはピン留めをしておきましょう。
HDR(ハイダイナミックレンジ)の機能が充実
ハイダイナミックレンジとは、写真の白飛びと黒潰れを抑える機能です。
Capture One Pro 12 までは、「ハイライト」「シャドウ」の項目しか無く、しかも、
- ハイライト…白飛びを抑える
- シャドウ…黒潰れを抑える
ことしか出来ませんでした。
逆に元々コントラストが低い写真の、ハイライトをさらに明るく、シャドウをさらに暗くすると行った個別の処理は、「レベルパネル」や「カーブパネル」を使わないと出来ず、調整はスライダー派の人達にはとっつきにくい仕様となっていました。
Capture One Pro 20 からは、これもAdobe Lightroom と同様、「ハイライト」「シャドウ」「ホワイト」「黒」の4つの項目に別れ、さらに、あえて白飛びさせる、黒潰れさせる方向へもスライダーが設定できるようになりました。
- ハイライト…ヒストグラムの右半分の真ん中付近のみの明るさを変える
- シャドウ…ヒストグラムの左半分の真ん中付近ののみの明るさを変える
- ホワイト…ヒストグラムの右端付近のみの明るさを変える
- 黒…ヒストグラムの左端付近のみの明るさを変える
風景写真など、あえて部分的にコントラストを強めたい人などにはありがたい変更ですね。
ノイズリダクションの強化

個人的に高感度撮影を行わないのでピンとこないのですが、ノイズリダクションが強化されました。
操作性に変わりはありませんので、内部処理が変わったようです。
特に「カラー」は各メーカーやカメラによって違うノイズの出方を計算し、それぞれの最適な設定をデフォルトの値(50)に設定してあるそうです。
各設定の意味は、
- ルミナンス…写真の暗い部分のグレーノイズをなじませる
- ディティール…輪郭や質感をなだらかにしたり、はっきりさせたりする。小さい数値でなだらかに、大きい数値ではっきりさせる。
- カラー…主に写真上のグリーンはマゼンタのノイズをなじませる
- ピクセル…ホットピクセルの除去
「ピクセル」は長時間露光の際に出来たホットピクセルを除去する機能です。
わかりやすく言うと、写真の暗い部分の点状の物を除去してくれます。
ただ、星空や都心夜景の窓灯りなどもホットピクセルとして認識してしまいますので、最適値を割り出すのは難しそうです。
クロップ(トリミング)機能の強化
強化と言うほどではないのですが、クロップの枠の角と中心部が太い線で表示されるようになり、クロップ枠が見やすくなりました。
今までは夜景など暗い写真では、トリミングの枠がどこにあるのかわかりにくかったのですが、それがわかりやすくなりました。
レイヤーのコピーとマスク表示アイコンの追加
Capture One Pro 12まではレイヤーをコピーしようとすると全てのレイヤーがコピーされていました。
Capture One Pro 20 では、特定のレイヤーだけコピーできるようになりました。
また、これまでレイヤーのマスクの表示非表示は「…」アイコンの中から選ばないといけなかったのですが、Capture One Pro 20 からはマスクの表示非表示の独立したアイコンが追加されました。
だたこのアイコンを押しても、さらにマスクのパネルが表示されますので、手軽かといえば疑問です。
素直にショートカット「M」で表示非表示を行ったほうが速いでしょう。
写真選びのレーティング、カラータグ付けが速く

Capture One Pro 12 までは、写真のレーティング(選ぶ)作業には、
レーティング→次の写真を選ぶ→レーティング…次の写真を選ぶ→…
という工程があり、次の写真を選ぶ動作としては「クリックする」または「矢印キーを押す」という事をしていました。
Capture One Pro 20からは、画面上の「選択する」メニューの中にある、「次を選択」の中から該当するレーティング方法にチェックを入れることで、「次の写真を選ぶ」工程が省かれるようになりました。
例えば、「スターレーティング付き」にチェックを入れた場合、テンキーで1を押すと、今選ばれている写真に星が1つ付き、自動で次の写真が選択状態になります。
つまり、テンキーのみで写真をレーティングしていくことができます。
カラータグの場合は、ショートカットのカスタマイズなどを行わないと、スターレーティングほどサクサクとは進みませんが、かなりの手間の短縮に繋がるでしょう。
ウェディングや子供撮影などイベント事を撮影する人にはありがたい機能です。
そして、Adobe Lightroom に比べ、プレビュー表示が圧倒的に速いです。
調整クリップボードがシンプルに
調整クリップボードがシンプルになったそうなんですが、僕には違いがわかりません、すみません…
違う点といえば、従来までは調整クリップボードを開くと初期設定では「すべてのバリアントを展開」されて状態でちょっと煩わしかった気がします。
Capture One Pro 20 からはデフォルトで「すべてのバリアントを格納」された状態で表示されるため、見やすくなった気がします。
自動調整のアイコンの変更
自動調整のアイコンが「A」から「魔法のステッキ?」のようなアイコンに変更になりました。
Capture One を最初に触った時に「A」って何だ?と思いましたので、良い変更ですね。
アイコンにテキスト表示
画面上部のカスタマイズできるツールバーなのですが、アイコンだけではいまいち何の機能かわかりにくかったと思います。
Capture One Pro 20 ではアイコンの下に機能名のテキスト表示が出るようになりましたので、わかりやすくなりました。
ビューアーの背景色の変更が簡単に
ビューアーとは写真と操作パネルの間にある余白のことです。
この余白の上で右クリックをすることで余白の色を簡単に変更できるようになりました。
余白の色は目の錯覚に影響を与える、地味に大事な設定ですので、実際に写真が使われる環境に近い明るさに設定しましょう。
サムネイルの高解像度化
サムネイル(デフォルトでは右の写真一覧)が高解像度化したようなのですが、今の所実感はありませんでした。
環境設定のプレビュー解像度を上げても結果は同じ…
キーボードショートカットの追加
拡大、フルスクリーン、フォーカスマスクなどがデフォルトのショートカットキーとして登録されたようです。
DNGファイルのサポート
DNGとはAdobeが提唱しているRAWファイルのことです。
現在カメラメーカーは独自のRAW形式を採用しているところがほとんどですが、RICOHやSIGMAなDNG形式を採用しているメーカーもあります。
また、Adobe LightroomやAdobe Photoshopなどを経由すれば、DNGとして保存でき、ファイルサイズも小さくなるため、そういう保管方法をされているユーザーでも使いやすくなりますね。
